特集  公務員試験 2004情報
今年、国家 I 種などの試験日程が早まったが、その影響で来年の公務員試験は全般的に早まりそうである。また、日程以外も科目、受験資格(年齢制限)などの変更を行うとすでに発表済みの試験もある。ここでは、現在発表になっている試験の変更点を見ていこう。

 来年の公務員試験は、例年になく様々な変更がありそうだ。発表されているだけでも、東京都庁、特別区の試験日程が1ヵ月早まること、裁判所事務官試験が29歳まで受験できるようになり、経済の科目が加わること、家庭裁判所調査官補試験の科目の編成が変更になること(A〜D種の区分はなくなる)などがあげられる。
 12月8日の現時点では、国家 II 種、各県庁の発表はまだないが、国家 I 種や都庁・特別区の試験日程の早期化にあわせて、これらの試験も早まることは充分に考えられる。来年の試験は1ヵ月早まることを前提に対策を行うほうが賢明だろう。
 では、具体的に、現在発表になっている試験について変更点を詳しく見ていこう。

■東京都庁

 東京都 I 類は、来年(平成16年)の試験から日程を1ヵ月早めることが発表されている。例年6月第3日曜日に実施されていた一次試験は、来年度は5月16日に繰り上がる。
 また、「厳しい財政状況の下で、高い志を持って都政の構造改革を担うバイタリティに溢れた人材や、会計・経営の素養を有する人材など、これまで以上に多様な人材を求めてい(東京都)」て、このような人が受験しやすくなるように、試験科目・出題内容を改正するという。
 具体的には、東京都 I 類・事務の専門試験I (択一式)、専門試験II(記述式)に「会計学」「経営学」の出題を加え(専門 Iの出題数未定、専門IIは計8分野から1題選択)、商学部、経営学部の人も受験しやすくする。 また I 類・II 類の全区分の教養試験で「知識分野」の出題数を減らし全問必須解答とする、「社会事情」の科目を新設するなどの変更も行われる。

■特別区

 東京23特別区 I 類の試験日程も、都庁同様、早期化される。例年、東京都 I 類と特別区 I 類は一次試験を同日に行っており、来年度も同じ5月16日に実施する。
 特別区は、来年度の試験内容、試験科目の変更は行わないという。ただし、特別区の試験は、今年、論文試験の配点が高くなったり、人事委員会の面接後にある各区の採用面接が独自に行われたり(集団討論などを各区で実施)、内定の時期が遅れ気味だったりと、例年にない傾向が見られたので、来年の試験でも注意が必要だろう。

 
■国家 I 種

 昨年まで6月第2日曜日に実施していた一次試験を今年、約1ヵ月早めた5月5日に実施した。これは「最終合格後に各府省の採用面接を受け、内々定を得るという方式が可能となるよう平成14年度と比べ早期化・短縮化を図った(人事院)」というもので、内々定は出したが合格しないという人が多数出たことによる混乱を避けるなどの目的があった。
 この結果「関係者から肯定的な評価を得た(同)」ため、来年度も同様の日程で試験を行う(平成16年の一次試験は5月2日)と発表している。
 また、「法律」区分の専門試験(記述式)の科目を「憲法、行政法、民法(3科目必須)+憲法、行政法、民法、国際法から1科目選択」から「憲法、行政法、民法、国際法の4科目から3科目選択」に変更する。

■裁判所事務官

 例年、6月第3日曜日に実施していた一次試験を今年、1ヵ月早めた5月18日に実施した(来年度の試験日程は未発表)。
 裁判所事務官( I 種・II 種)での大きな変更点は、受験資格を「21歳以上27歳未満」から引き上げ「21歳以上30歳未満」とすることである。
 また、試験科目に「経済」を加え、従来「憲法、民法、刑法」であった専門科目を「憲法、民法、刑法または経済」とする。 これは、「今後のますます高まると考えられる司法需要に適格に対応できるよう、裁判所においても優秀な人材、多様な人材を必要としています。そこで、なるべく多くの方々に受験してもらえるよう、従前、専門試験の試験科目が法律学のみであったところを、第1次試験専門試験について、経済理論を選択できることとしました(裁判所)」と説明している。
 都道府県庁や国家 II 種試験など行政職を志望する人は、通常「刑法」の科目の対策を行わないため、裁判所事務官を併願する人はあまりいなかった。しかし、来年の試験科目の変更により、行政職の受験対策で裁判所事務官 II 種試験の併願が可能になる。
 裁判所事務官試験の日程は発表になっていないが、今年と同様の日程で実施する場合、5月16日となり、すでに発表になっている都庁 I 類・特別区と同日になってしまう。行政職志望の人も受けやすく試験科目を変更していることもあり、日程については注目したい。

■家庭裁判所調査官補

 家庭裁判所調査官補試験は、今年の試験で専門科目を択一式から記述式にするなどの変更を行ったが、来年度は科目の編成・受験資格を変更する。
 A〜D種に分かれていた区分を廃止し「心理学(6題)」「社会学(6)」「社会福祉学(6)」「教育学(6)」「心理学(3)+法律学(3)」「社会学(3)+法律学(3)」「社会福祉学(3)+法律学(3)」「教育学(3)+法律学(3)」の中から選択する。解答方法は今年と同様記述式で、で、6題を2時間30分で解答する。
 また、受験資格は裁判所事務官試験と同様に「21歳以上27歳未満」から「21歳以上30歳未満」へ引き上げる。