喜治塾新聞68号(2004年6月7日発行)
特集【2004年の時事的話題から予測する 今年の試験の要注意分野】

 公務員試験も中盤にさしかかりました。残り少なくなった時間、最後まであきらめずにどん欲に勉強し続けた人が合格していきます。とはいうものの、とくに範囲が膨大な教養試験の知識科目で、どの分野を重点的に勉強すべきなのか、迷っている人も多いでしょう。そこで今回は、今年の時事的話題に絡んだ要注意分野について、特に盲点となりそうなところを指摘していきます。自分の苦手なところはぜひ押さえておきましょう。

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●注目すべき話題 Best10

1 アメリカ大統領選 
      →アメリカ大統領制、政党制、アメリカ政治史(歴代大統領の政策)
2 EU拡大
      →EU形成史、ヨーロッパ現代史、ヨーロッパ地理(とくに東欧圏)
3 イラク問題 
      →イスラム史、中近東の地理、中近東の地域紛争(パレスチナ、クルド人)
4 北朝鮮問題 
      →朝鮮半島史(とくに日本との関係)
5 自衛隊発足50周年 
      →自衛隊史、有事法制
6 アテネオリンピック 
      →ギリシャ史(エーゲ文明からヘレニズム文明まで)、ギリシャ文化
7 参院選 
      →日本の選挙制度(とくに比例代表制)、選挙制度改正、定数不均衡訴訟
8 日米和親条約締結150年、新撰組、ラストサムライ 
      →日米外交史、幕末史
9 日露戦争開戦100年
      →明治期の歴史、日露関係史
10 新札発行 
      →野口英世と樋口一葉

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 まずは何といってもアメリカ大統領選でしょう。特に今回はイラク戦争の当否につきアメリカ国民の審判が下るわけですから、世界中が注目しているのです。ブッシュ政権にべったり寄り沿っていた小泉政権の行方にも影響しかねません。公務員試験の分野では、アメリカ大統領制(都庁1類で既出)及び大統領選挙の仕組み、アメリカの政党制、アメリカ政治史(歴代大統領の政策)が要注意です。ちょうど第40代大統領のレーガンが死去したので、レーガン政権やケネディ政権の政策、ベトナム戦争等についても世界史の教科書をよく復習しておいて下さい。
 次に、EUが25カ国体制へ移行することから、EU形成史、ヨーロッパ現代史、ヨーロッパ地理は要注意です。新規加盟するのは東欧諸国ですから、第二次大戦以降の東欧諸国の歴史や地理をチェックしてください。また、EUと並んで昨年活発な動きのあったASEAN(都庁1類で既出)についても要注意です。東南アジア地域の現代史や地理、日本との関係史に気を付けてください。
 イラクや北朝鮮関係は既に昨年からあちこちで出題されていますが、今年もよりいっそうの注意が必要です。
 以上、上位4位までは誰もが予想するところでしょうが、5位以下は大穴でかつ盲点となり易いところです。まず、有事法制は時事問題として最重要ですが、関連項目として自衛隊史に注意してください。1950年の警察予備隊創設の経緯(朝鮮戦争と絡む)や、1992年のPKO協力法制定以降の海外での活動実績など、大変危険です。
 また、今年はアテネオリンピックの年です。ギリシャはオリンピック発祥の地であるだけでなく、西洋文明発祥の地、哲学や民主主義の発祥地でもありますから、広く見渡しておいてください。とくにマラソンの由来となった、ペルシャ戦争のマラトンの戦いや、映画になったトロイ戦争、昨年展覧会で話題となったアレクサンドロス等が要注意です。
 国内政治では、夏に参議院議員選挙がありますから、複雑な比例代表制の仕組みや、近時の選挙制度(とくに定数)改正、近時の定数不均衡訴訟最高裁判決(都庁1類で既出)を衆議院と対比して押さえておいて下さい。
 日本史では、日米和親条約締結150年や大河ドラマ新撰組、映画ラストサムライにちなんで、幕末史(とくに条約改正〜特別区1類で既出、戊辰戦争、西南戦争)や日米外交史。また、今年は日露戦争開戦100年で、プーチン大統領の来日も決まり北方領土交渉も近く再開しそうですから、日露関係史(とくに領土がらみ)や明治期の歴史が大穴です。さらに、新札が発行されますから、野口英世(都庁1類で既出)と樋口一葉の業績も日本史用語集などで関連人物も含めてチェックしておきましょう。