<特集>
公務員試験
今年度実施状況
公務員試験に合格するためには、勉強の完成度に加え、情報収集力も大きな鍵となる。
試験によっては、日程や内容の大幅な変更を突然行う場合がある。これら変更に対処していくためには、とにかくこまめに情報を集めていくしかない。ダイナミックな試験内容の変更、試験日程の大幅な前倒し、試験を実施しないなど、受験生にとっては深刻な内容でも、受験案内ではじめて発表されることも多い。志望先の試験に柔軟に対応していくためには、情報収集を怠らないようにしよう。
◆千葉県庁
千葉県のホームページによると、「上級職種の試験科目・試験方法について『論文試験・記述式』を導入します。これに伴い『専門試験・記述式』は廃止します」との変更点がある。
県人事委員会に問い合わせると「全職種が共通で受験できる内容に変更する」と言う。「教養論文試験」に変更されるのかと尋ねたが、「試験内容・方法については現在検討中。5月10日に配布する受験案内に掲載する予定」とのこと。
内容は未定だが「全職種が共通して受験できる内容」という部分は確定しているとのことなので、教養論文的なものになることはほぼ間違いないだろう。
また、千葉県では、上級・中級試験の年齢の上限を2歳引き上げる。「上級・中級・市町村立学校事務採用中級試験の受験資格について、受験資格年齢の上限を2歳引き上げます」と発表している。
具体的には、上級試験は昭和47年4月2日〜56年4月1日生まれ、中級試験は昭和50年4月2日〜58年4月1日生まれの人が受験可能となる(平成15年4月1日現在、上級試験は30歳まで、中級試験は27歳まで受験可能)。 ちなみに東京都庁T類(事務)は昭和50年4月2日〜56年4月1日生まれ(平成15年4月1日現在、22歳〜27歳)、埼玉県上級は「21歳から27歳まで(平成14年4月1日現在)」としている。
神奈川県は、昨年に続き行政職の採用を行わないとの発表をしている(I種、II種、III種とも)。
これら採用試験に関する情報を得るには、各自治体のホームページを見るのがもっとも確実で早い方法だろう。ただし、ホームページだけの記載ではよく分からない場合は、直接電話などで担当者に問い合わせること。誤った理解で対策を間違えてしまっては、元も子もない。志望先に確実に合格するためには、小さな変更点でも見逃さないようにすることが大切だ。
試験勉強と並行して情報収集を行っていくのはこの時期たいへんなことだが、確実な情報を得て試験対策を万全なものにし、志望先への合格を果たしてほしい。
時事対策のための直前予想問題
次のうち妥当なものはどれか。
1 1992年の地球サミットで温暖化防止条約が採択され、1997年京都市で開かれた第3回締約国会議で「京都議定書」が採択、発効された。
2 最大のCo2排出国であるアメリカは、途上国の不参加と自国経済への悪影響を恐れ、クリントン政権以来一貫して不支持を表明している。
3 地球温暖化は、海水の熱膨張および氷河などの消失により、海面水位を上昇させ、低地の多い国では国土が減少、高潮被害が予想されることだけでなく、猛暑・干ばつ・洪水などの異常気象の頻発なども考えられる。
4 日本では京都議定書をふまえ、98年10月に地球温暖化推進法が成立し、温室効果ガスの削減に関し強い強制力が定められた。
5 京都議定書では、国際的仕組みとして「京都メカニズム」を導入したが、その利用に制限を求める日本と柔軟な運用を望むEUの対立があり、いまだ合意に至っていない。
<解説>
1 誤 1997年京都議定書が採択されたが、その発効には55ヵ国以上の批准が必要であり、かつ批准した国のCo2排出量の合計が、基準年である1990年の総排出量の55%以上を締めていなければいけないとされているが、各国とも地球サミットから10年目の2002年9月に南アフリカで開かれる「環境サミット」に向けて条約の批准を進め、いよいよ発効されることになりそうだ。京都議定書では、Co2などの温室効果ガスの排出量を2008年から2012年までの間に、1990年水準から少なくとも5%削減するよう先進国に義務付けた文書。国・地域別削減目標を日本6%、アメリカ7%、EU8%などと定めた。
2 誤 アメリカはクリントン政権時は京都で議定書採択に加わったが、ブッシュ政権になり方針を転換した。最大の排出国であるアメリカを抜きで、発効してもどれだけの意味があるのか疑問視する向きも多い。アメリカの不参加は、途上国に温室効果ガス削減を義務付けていない点、米国経済への悪影響を与えることを理由とする。
3 正 そのとおり 。
4 誤 地球温暖化推進法は、温室効果ガス削減に関し強制力をもつものではない。そのため対策が十分に進んでいないのが実情。
5 誤 京都メカニズムは1.温室効果ガスの排出権を売買する「排出量取引」、2.複数の先進国で排出削減プロジェクトを行う「共同実施」、この場合その関係国間で移転・獲得できる、3.途上国でのプロジェクトを先進国の排出削減に算入する「クリーン開発メカニズム」のことをいう。これら柔軟な対応を主張したのが日本で、EUは柔軟性措置に制限を設けるべきと主張。 このほか、緩和措置として、森林によるCo2の吸収量を削減分に加えることも認めた。これら議定書の運用ルールの主要部分についての政治的合意が2001年7月ドイツ・ボンで成立(ボン合意)。その後の2001年10月〜11月モロッコ・マラケシュで開かれた第7回締約国会議(COP7)で、ボン合意を法的文書にした。