<特集>

面接試験の流れ
〜東京23特別区の面接試験再現〜

「面接対策ポイント講座」のご案内はこちら


 面接試験の重要度、取り組み方については、前号で説明したとおりである。では、実際に合格した人は、どのような質問にどう答えていたのか。
 今回は、昨年の東京23特別区の試験に合格し、目黒区に採用となったAさん(女性)の面接試験を紹介する。実際の試験の再現を掲載するので、自分自身ならどう答えるか、考えてみてほしい。


■特別区合格 Aさんの面接再現

 特別区の面接は、3人の面接官によって行われる個人面接でした。面接室に入るまでには、職員の方がドアの開け方(ドアノブを回す方向やノックする必要の有無など)まで指示してくださいました。不安なことがある場合には、質問をすれば何でも答えてもらえると思います。
 面接時間は20分くらいだったと思います。面接の質問内容は、私の受験した年から変更されたと後で聞きました。今年の面接内容がどうなるかは分かりませんが、そのときに自分の思ったこと(分からないなら分からないと)をはっきり答えることができれば十分だと思います。
 また、私は塾で4〜5回ほど模擬面接を受けました。はじめは、面接カードを埋めることさえできませんでした。
しかし、何回も模擬面接を受けることで徐々に自信を持つことができるようになりました。
 本番の質問内容は、塾でやったものと必ずしも同じではありませんでした。しかし、質問に対し、大きな声で相手の目を見ながら答えるということができるようになっていれば、想定していなかったような質問をされても大丈夫だと思います。
 特別区全体の面接では、同じ質問を異なる面接官が繰り返し行うことがありました。私は「さっきも言ったのになぁ」と戸惑いを感じました。面接後、他の人に聞いたところ、そのようなことはよくあるそうなので、びっくりしないでよいようです。
 では、忘れている部分も多いですが、覚えている範囲で、私の受けた特別区の面接試験の内容を再現したいと思います(特別区→目黒区の順)。


特別区面接試験(2001年)

特別区

【面接官】東京23区を受験していただきありがとうございます。それでは面接をはじめます。

(はじめの質問は忘れてしまいました。ただ、志望動機から聞かれると思っていたのに、もっと答えやすい質問だったので安心したことを覚えています)

【面接官】新しい職場になじむために、あなたならどのようなことを心掛けますか。

【私】まず、同じ職場の人たちの名前を早く覚えるようにします。また、分からないことがあったら、積極的に質問するようにします(答えやすい質問が多いなぁ)。

【面接官】区役所はたくさんの区民が利用される場所です。時には、あなた自身が苦情を受け付けることもあると思います。中には「区長を出せ」と押しかけてくる人もいるかもしれません。もし、そのような状況に立たされた場合、あなたならどうしますか。

【私】私自身、接客のアルバイトをしていたとき、クレームを受けることがありました。そのときは、お客さまの声を聞き、ひたすら謝ることしかできませんでした。もしも「区長を出せ」といった自分自身では判断できない状況に立たされたら、先輩や上司に意見を求めます。

【面接官】特別区の職員になったら、どのような仕事をしたいですか。

【私】何でもやってみたいというのが本音です。しかし、ここ数年の間、自分自身の祖父が寝たきりになったり、祖母が病気で倒れたりといったことが続いたこともあって、今一番興味をもっているのは高齢者福祉です。

【面接官】実際には思っている仕事には就けないこともありますが、大丈夫ですか。たとえば、ごみを収集するような仕事をあなた自身がやらなくてはならないかもしれませんよ。

【私】大丈夫です。何でもがんばります。

【面接官】先ほど高齢者福祉に興味があるとおっしゃいましたが、区の職員の仕事というのは役所の中だけの仕事ではなく、ときには自分自身がお年寄りのおむつを替えなければならないような状況に置かれることもあるかもしれません。もしも、そのような状況になったらどうしますか。

【私】おむつを替えてしまうと思います(こう答えてよかったのかな……)。

【面接官】特別区のほかに国家U種の試験なども受けられているようですね。もし、両方合格した場合はどうされるつもりですか。

【私】絶対に特別区を選びます。

【面接官】絶対ですか。はっはっは。

【私】(ほっとする)

【面接官】これから特別区で働くことになった場合、職場の中であなたは新人ということになります。その新人であるあなたの役割は何だと思いますか。

【私】今現在、私自身も一区民です。その意味で、職場において新人は、区役所を外から見る区民の立場に一番近い存在であるともいえます。だからこそ、区民の視点に立って、区民の声を伝えていくことが新人である私の仕事であると思います。

【面接官】どのような職員が今、区民に求められていると思いますか。

【私】(少し悩んで)まず、区民の声にじっくり耳を傾けることのできる職員だと思います。そして、区民の声に耳を傾けることによって、区民が何に対し不安や不満を抱いているのか、何を疑問に思っているのかに気づくことが大切であると思います。また、区民の疑問に適切に答えられなければならないので、区民と接するような場面以外でも、日頃から勉強することも大切だと思います。

【面接官】そうですか。わかりました。○○さんのような明るい方も求められているかもしれませんね(笑顔)。

【私】ありがとうございます(よかった、笑顔でいたのがよかったのかなぁ)。

【面接官】区の職員として働くようになった際、どのようなことを心掛けて仕事をしていきたいですか。

【私】なぜ自分が公務員を目指したのかということを自分に問うことを忘れずに、今持っている気持ちを大切にして仕事をしていきたいと思います。

【面接官】そうですか。わかりました。がんばってくださいね。それではこれで終わります。お疲れさまでした。


目黒区

【面接官】特別区の職員を希望された理由をお聞かせください。

【私】祖父が病気で倒れた際、近所の病院の先生や役場から来てくださるヘルパーの方など、地域という存在の大きさを感じました。自分自身、地域住民の生活を身近なところで支えるような仕事をしたいと思い志望しました。

【面接官】住民の生活を支える仕事は、他にもあると思いますが。たとえば民間の企業がなければ住民の生活は成り立たないわけですし。なぜ、その中で公務員なのですか。

【私】私は、特別区の仕事は住民の生活の根幹を様々な側面から支える仕事だと思っています。高齢者福祉というものをとってみても、確かに、介護サービスを行う民間の企業は、介護という側面から人々の生活を支えることができます。しかし、特別区においては、ごみを集積所まで運ぶことのできないお年寄りの家の前まで行って収集したり、学校の空き教室を利用して子供とお年寄りの交流を図ったりと、より多くの側面から住民の生活を支えることができると思います。ゆえに、より多様な側面から住民の生活を支えることができると思い、公務員を志望しました。また、私は、やるからには一生を通して仕事をしたいと思っています。そこで、女性である私が仕事をしていくにあたり、公務員のほうが民間企業よりも環境が整っていると考えたことも理由のひとつです。

【面接官】目黒区を希望されたのはどうしてですか。

【私】特別区の説明会に参加した際、目黒区の方のお話を伺いました。説明会では、5つの区の個別説明を聞くことができました。その中で、目黒区には職員提案制度があり、課の枠組みを越えて職員が意見を述べることができるというお話を聞きました。そこで、そのような職員一人ひとりに対する期待の大きい職場で働きたいと思い目黒区を希望しました。また、目黒区の職員の方のお話からは、職員の方が目黒区という区はもちろん、目黒区役所という職場が好きだという気持ちが強く伝わってきました。実際に働いている方が好きだと言える職場なら、本当によい職場なのだろうと思ったのも理由のひとつです。

【面接官】わかりました。それではこれまでに目黒区の催しなどに参加されたことはありますか。

【私】ありません。しかし、本日の面接を受けるにあたり、少しでも目黒区の雰囲気を感じたいと思い、目黒区の採用面接を受けることが決まってから、4回ほど目黒区を探索しにきました。

【面接官】4回もですか。どのようなところを訪れたのですか。
【私】1回目は区役所と祐天寺駅の周辺を歩きました。2回目は、自由が丘駅の周辺を歩きました。3回目は(以下はっきり覚えてないので省略させていただきます)。

【面接官】どうしてそこまで目黒区、もしくは、特別区に関心を持たれたのですか。公務員といっても、地元の県庁や国家公務員など様々な仕事がありますよ。

【私】はい。以前、住民の意見を採用しながら住民とともに公園をつくるという特別区の取り組みを新聞で読みました。このように、特別区の仕事は国家公務員の仕事よりも、より住民に近いところで住民の声を聞きつつ、住民とともによりよい地域社会を築くことのできる仕事だと思います。地元の県庁より特別区を選んだのは、多くの情報の発信地であり、かつ集積地でもある東京で働きたいと思ったこともあります。また、学生時代を東京で過ごしていることもあり、新聞を読んでいても特別区の情報をよく目にするので、自然にそちらに関心が向いたというのもあると思います。

【面接官】ご両親は地元に帰って来いとはおっしゃいませんか。

【私】本当は帰ってきてほしいと思います。しかし、そのことについては以前話し合い「今思うようにやりなさい」と言ってもらったので、特別区でがんばろうと決めました。

【面接官】現在は、杉並区にお住まいということですが、杉並区と目黒区を比較して、それぞれのよいところ悪いところはどこだと思いますか。

【私】(かなり悩む)目黒区を歩いて感じたのは、緑も多いし、とても静かだということです。住宅街に入ると車も少なかったので、子供が遊びやすい場所だとも思いました。杉並区のよいところは私の家の周りしかわからないのですが、アパートなどが多いので、学生には住みやすい場所だと思います(めちゃくちゃだぁ)。それぞれに悪いところは、どちらも放置自転車がとても多いところだと思います。

【面接官】ボランティアサークルで活動されていたようですが、具体的にはどのようなことをされていたのですか。

【私】私が介助のお手伝いをしていた方は、右手しか動かない方だったので、食事や着替えや排泄など日常生活のお手伝いをしていました。

【面接官】目黒区で働くようになったらどのような仕事をしたいですか。

【私】何でもやってみたいと思っていますが、高齢者福祉に特に興味があります。

【面接官】わかりました。それでは面接はこれで終わります。お疲れさまでした。