<続・喜治賢次の目線>
VOL.3
手数料値上げの影響
3千円から5千円に手数料が値上げされた。中野区の放置自転車撤去手数料である。
駅、スーパーの前とあちこちにあふれかえる放置自転車の対策は全国の自治体が頭を悩ませている。「放置自転車規制区域」というような看板を目にしたことがあるだろう。中野区をはじめ、都心部の自治体では、放置自転車規制区域をあらかじめ決め、そこに駐輪された自転車は違法駐輪としてレッカー移動ならぬ人手とトラックによる移動を行い、道路交通の安全を図っている。駐輪場をいくら整備してもどんどん増える。1台置かれると2、3台と置かれいつしか自転車のカゴがゴミ箱と化し無秩序に数十台が山積みされ、人が狭いところをよけながら歩くようになる。歩行者はまだよけられるが、乳母車、車椅子、足元の弱った人はそうはいかない。安全なはずの歩道が一転、危険な道に変わり、歩きにくいからと車道側を通行したりする。
せっせせっせと撤去するしかない。撤去するための人件費、撤去した自転車を保管管理するための費用がどんどん膨らんでいく。中野区内だけで年間2万3千台(12年度)を撤去するそうだ。その費用は年間1億2千万円。 さて、撤去された自転車を保管場所に取りに行くと、撤去手数料を払わなければならないという仕組みになっている。それは仕方ないだろう、違法駐輪をしていて撤去されたのだから。その費用は違法駐輪をしたものが負担すべきだ。その手数料が、先日値上げされた。
中野区内だけで年間2万3千台が撤去され、そのうち引きとりにくるのは6割にとどまるのだそうだ(なんと中野区内だけでも、年間1万台近くの自転車が引取り手がなく処分されている。都内全体だと、日本全体だと一体どれくらいの自転車が処分されているのだろう)。
それはさておき、引取りに来ない人の費用をまかなうために取りにくる人の撤去手数料の値上げに踏み切った。値上げすることで違法駐輪への抑止力にもなるとも考えたのだろう。ところが結果は、かえって引取りにくる人が減っているという。値上げ前は引取り率6割だったものが、5割をきってしまったそうだ。あなたが担当者ならどうする?